中小企業基盤整備機構は、インタレスト・カバレッジレシオを(営業利益+受取利息配当金)÷支払利息・割引料で算出し、経常的な収益による金融費用の支払能力を見る指標と説明しています。
営業外収益・費用の科目、手形割引料、リース・保証料等を含める範囲は資料や分析目的で変わり得ます。金融機関資料と自社管理表で採用式をそろえます。
分子が赤字、分母がゼロまたはごく小さい場合は、倍率が計算不能・極端になりやすくなります。無理に正常な倍率へ直さず、利益不足や無借金等の実態を説明します。
ICRは利息の支払能力を示しますが、元金返済を直接含みません。DSCR、債務償還年数、返済予定表、13週・12か月資金繰りを併用します。

倍率が1倍を超えていれば返済全体に問題ないと考え、元金・税金・運転資金と金利上昇を見ていない
- 科目受取利息・配当金、支払利息・割引料の範囲が不統一
- 異常値赤字や分母ゼロでも機械的に倍率を表示している
- 範囲利払い指標なのに元金返済能力まで示すと誤解している
この記事の結論
- 科目をそろえる
分子・分母と対象期間を明記します。 - 異常値を注記する
赤字・ゼロ・一過性要因を別に説明します。 - 返済全体へつなぐ
元金、税金、運転資金、金利上昇も試算します。
利払い能力の倍率管理で想定される相談内容
以下は実績・成功事例ではなく、相談時に整理対象となりやすい状況を示した想定ケースです。融資条件、契約、会計処理、保存期間は各社で異なるため、自社資料と最新の公的情報で確認してください。
決算書からICRを計算し、利払い能力の3期推移を金融機関へ説明したい
変動金利が上昇し営業利益が下振れする場合のICRを慎重案として計算したい
ICRと年間元金返済・税金・設備支払後の資金残高を同じ資料で確認したい
ICRを確認する5工程
科目抽出、定義固定、算定、感応度、返済照合の順です。
- 01科目抽出利益・受取・支払利息
- 02定義固定対象期間・除外科目
- 03算定倍率・異常値
- 04感応度利益減・金利上昇
- 05返済照合元金・税・資金繰り
利払い倍率・元金返済・資金残高を分けて見る
ICRだけで返済全体を判断しません。
倍率と推移
年間返済額
資金繰り残高
確認の組合せICR=(営業利益+受取利息・受取配当金)÷(支払利息・割引料)
利払い能力の倍率管理について判断軸を整理した図です。個別案件の処理結果や融資条件を確定するものではないため、実際の画面表示と日本公庫の案内を優先してください。
ICRを利息だけの倍率で終わらせず、利益の質・金利変動・元金返済へ接続する
元金返済を含まない
ICRは金融費用への倍率です。元金を含む返済余力はDSCRや資金繰りで補います。返済期間が短い借入では、ICRが安定していても元金支出が集中し得ます。
一過性利益を分ける
固定資産売却、補助金、保険金等が営業外・特別損益にあるときは、採用式との関係を確認します。通常収益で利息を賄えるかを示すため、実績値と調整後の値を並べ、調整理由を残します。
分母ゼロは無限大と決めない
金融費用がない状態を示しますが、借入余力や将来返済を保証しません。「算定対象外」等と注記し、新規借入後の予想利息を使う将来値とは分けます。
月次値は季節性と累計期間をそろえる
単月営業利益は季節変動や決算整理前の未計上で振れやすいため、前年同月、直近12か月、当期累計を区別します。支払利息も月割り推計と実額を混在させず、未払計上の有無を確認します。
金利感応度は借入ごとに計算する
固定・変動、基準金利、スプレッド、見直し日、残高推移が異なるため、全残高へ一律の上昇幅を掛ける前に契約別の影響額を積み上げます。利益下振れだけ、金利上昇だけ、同時発生の三案を残すと説明しやすくなります。
インタレスト・カバレッジレシオを事業利益と金融費用の関係として捉える
営業利益と金融収支を科目別に抽出
損益計算書と勘定科目明細から営業利益、受取利息、受取配当金、支払利息、割引料を拾い、集計期間と除外科目を記録します。
利益低下と金利上昇を別々に試算
実績ICRに加え、営業利益の下振れ、変動金利の上昇、両方が同時に起きる場合を計算し、倍率が変わる原因を分けます。
利息指標を元金・現金へ接続
ICRだけで返済全体を判断せず、返済予定表、DSCR、納税・賞与・投資を含む資金繰りと照合して相談資料にします。
ICR台帳には、対象期間、営業利益、受取利息、受取配当金、その他採用科目、支払利息、割引料、除外費用、一過性調整、算定倍率、年間元金返済、金利上昇案、計算者を記録します
会計処理、税務申告、帳簿書類の保存、融資判断は事業形態や取引内容で異なります。制度の最新情報を公的機関で確認し、個別の税務判断は税理士等の有資格者へ相談してください。
営業利益・受取利息配当金・支払利息割引料の範囲をそろえる
営業利益+受取利息配当金
- 継続的な営業利益
- 受取利息・受取配当金
- 一過性利益の除外・注記
- 計画と実績の区別
支払利息・割引料
- 借入金の支払利息
- 手形等の割引料
- 変動金利の上昇影響
- 保証料・手数料との区別
営業利益1,200万円、受取利息配当金20万円、支払利息・割引料305万円なら、ICRは4.0倍です。これは利息等に対する倍率であり、年間元金返済や税金を差し引いた資金余力とは別に確認します。

利払い余力と元金返済後の現金残高を分けて確認する
利益が利息を上回っていても、元金返済、税金、設備支払、運転資金増加で現金が不足することがあります。返済予定と資金繰りを重ねます。
赤字・分母ゼロ・一過性損益は倍率と別に注記する
| 項目 | 計算・確認方法 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 分子 | 営業利益+受取利息配当金 | 継続性を確認 |
| 分母 | 支払利息・割引料 | 科目明細を確認 |
| 倍率 | 事業利益÷金融費用 | 3期・月次比較 |
| 補完 | 元金・税・運転資金 | DSCR・資金繰り |
倍率の上昇が営業利益改善によるのか、借入減少・金利低下によるのかを分けます。受取配当金等が一時的なら、通常時の倍率も併記します。
金利上昇と利益下振れを組み合わせて利払い余力を試算する
利益・受取・支払利息
対象期間・除外科目
倍率・異常値
利益減・金利上昇
元金・税・資金繰り
ICRは損益計算書中心の指標です。13週・12か月資金繰りへ実際の元金・利息支払日、税金、賞与、設備代を入れ、利益と現金を混同しません。
変動金利借入は0.25・0.50・1.00ポイント上昇等で金融費用を再計算し、売上・粗利下振れと同時発生する慎重案も確認します。
制度、許認可、手続、融資条件は変更される場合があります。申込時は公的機関の最新情報と金融機関の案内を確認してください。
ICRの説明で用意したい決算・金利資料
直近3期決算書、勘定科目明細、支払利息・割引料内訳、借入一覧、金利通知、返済予定表、月次試算表、金利感応度、13週・12か月資金繰りを用意します。
本記事は中小企業の財務指標、運転資金、事業融資に関する一般情報です。指標の適正値、必要資金額、融資・更新の可否、適用金利、返済可能性を保証するものではありません。正式条件は金融機関等の契約・回答を優先し、個別の会計・税務・法務判断は税理士、弁護士等へ確認してください。
創業融資サポートを利用したお客様の声
支援の進み方や相談時の状況を知るには、実際のお客様インタビューが参考になります。承認率などの集計数字ではなく、ご本人の体験を確認できる事例をご案内します。






融資のアイラボの料金と支援範囲
着手金0円・成功報酬5%+税
報酬は融資が実行され、着金したときに発生します。融資が実行されなかった場合、サポート報酬はかかりません。
契約前に、成功報酬の計算対象、消費税、支援期間、追加費用の有無、解約条件を確認します。支援を利用しても融資は保証されず、最終的な可否と条件は金融機関等が決定します。
よくある質問
申込み方法や必要書類は制度・窓口・事業内容によって異なります。個別条件は必ず担当窓口へご確認ください。
ICRとは何ですか?
事業利益が金融費用の何倍あるかを示す利払い能力の指標です。
計算式は?
代表式は(営業利益+受取利息配当金)÷支払利息・割引料です。
何倍なら安全ですか?
業種・金融機関・利益の質等で異なり、単独基準では判断できません。
元金返済も含みますか?
含みません。返済予定、DSCR、資金繰りを併用します。
営業赤字の場合は?
倍率の意味が不安定です。赤字原因、改善計画、現金残高を別に示します。
支払利息がゼロなら?
単純除算はできません。金融費用がない事実として注記します。
改善するには?
営業利益改善や不要債務圧縮等を検討し、実行可能性と資金影響を確認します。
この記事の監修者・運営者情報

石川 康平
五常コンサルティング株式会社 代表取締役
2024年の問い合わせ・ヒアリング対応300件をもとに、創業融資の支援範囲・料金・制度情報について確認しています。
- 執筆・編集
- 融資のアイラボ編集部
- 監修
- 五常コンサルティング株式会社 代表取締役 石川 康平
- 公開日
- 2026年8月11日
- 最終更新日
- 2026年8月11日
- 制度情報の確認方法
- 日本政策金融公庫、信用保証協会などの公式ページを確認し、申込時は各窓口で最新情報を再確認します。
※記事内の相談場面を表現した写真は、内容を分かりやすく伝えるために作成したAI生成のイメージです。「お客様の声」に掲載しているお客様と監修者の写真は、実際のお客様・監修者の写真です。
確認した公式情報
制度内容や申込方法は改定される場合があります。申込時には各公式ページと窓口で最新情報をご確認ください。PDFは容量が大きい場合があるため、スマートフォンでは通信環境にもご注意ください。
- 中小企業基盤整備機構「個別指標一覧|経営自己診断システム|中小機構」
- 中小企業基盤整備機構「操作方法|経営自己診断システム|中小機構」
- 日本政策金融公庫「創業の手引」(PDF・容量が大きい場合があります)
- 国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
- あいち産業振興機構「愛知県よろず支援拠点」
制度情報確認日:2026年8月11日
利払い能力の倍率管理を次回融資まで逆算して整理する
営業利益と金融費用を同一定義で整理し、ICR・元金返済・金利上昇時の資金余力を確認します。相談時点で契約する必要はなく、現在ある資料と社内の運用から確認できます。
資料が完成していなくても、相談した時点で契約する必要もありません。
※融資の可否、金額、利率、返済期間、担保・保証人などの条件は、各金融機関・信用保証協会の審査により決定されます。融資のアイラボは金融機関ではなく、融資の実行を保証するものではありません。
※本記事は2026年8月11日時点の公表情報をもとに作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、申込時には必ず各公式窓口で最新情報をご確認ください。
