商品別採算は、赤字に見える商品を機械的に廃止するための表ではありません。売上の大きい商品、来店の入口になる商品、手直しが多いサービスを、同じ定義の数字で比べるために使います。商品名や売場ごとの集計がばらばらなら、まず注文や明細に戻れるコードを決めます。
本文の数値は架空例です。税抜の採算表では売上から販売数量に伴う変動費を引いた額を「貢献額」と呼び、固定費へ充てる前の金額とします。財務会計の粗利益とは同一視しません。資金表は別の税込例で、売れた原価と買った在庫、実入金を分けます。顧客別採算や稼働率は関連する別記事で確認できます。

売上と受注は増えたのに、忙しさだけが増えて返済後の現金が残らない
- 一括異なる商品を同じ売上科目にまとめ、粗利差が見えない
- 漏れ決済・配送・外注・材料ロスを商品原価へ含めていない
- 役割利益商品と集客商品を区別せず、売上額だけで評価する
先に押さえておきたいポイント
- 一件と月額を両方見る
値引き・返品後の数量と単価から貢献額を作り、定義を固定します。 - 配賦赤字だけで止めない
家賃や人件費が残る場合の全社利益を、休止前後で比較します。 - 商品構成を現金へつなぐ
在庫先払いと回収延期を反映し、売上が増える前に必要な金額を確認します。
商品・サービス別の採算管理の不足を無料相談で整理する
資料がすべて揃っていなくても相談できます。現在ある通帳、会計データ、融資資料から、どこを先に整えるべきかを確認します。
相談前の状況を整理する三つの想定例
次の3例は説明用の想定であり、実在するお客様の実績・成功事例ではありません。融資の可否や金額、所要日数を示すものではありません。
売上100万円ずつのAとBを同じ主力と見ていた会社の想定です。変動費を分けると貢献が40万円と25万円になり、必要人時と合わせて増やす商品の候補を整理します。
配賦後のBがゼロなので止めようとしていた方の想定です。消える固定費が5万円だけなら全社は15万円から-5万円へ悪化するため、価格や仕様の改善から検討します。
売れ筋を追加仕入した会社の想定です。40万円の在庫支払と60万円の回収延期を重ね、下限に不足する40万円を在庫の売却見込みだけで埋めない計画にします。
商品別採算を整える5工程
分類、実売単価、変動費、貢献額・工数、役割決定の順に確認します。
- 01商品群と期間を固定コード・数量・実売単価
- 02変動費を対応材料・外注・決済・配送
- 03貢献額と時間を比較一件・月間・人時
- 04固定費と役割を確認配賦・入口・継続・休止
- 05現金と改善を更新在庫・回収・価格・担当
単価・数量・費用・時間をそろえて商品構成を判断する
一商品を止めた後も残る固定費を含め、全社の利益と現金を計算する。
控除する費目を固定
休止して消える費用を分離
利益と残高を混ぜない
確認する考え方一商品を止めた後も残る固定費を含め、全社の利益と現金を計算する
編集部による自社の管理・契約条件の整理例です。相場、法定の人数や期間、融資承認の条件を示すものではありません。
商品別採算を価格と商品構成の判断へつなげる
粗利率と粗利額を混同しない
粗利率が高くても販売数が少なければ固定費を賄う粗利額は不足します。率、数量、月間粗利額を併記します。
対応時間を供給能力として測る
個別相談、修正、問い合わせ対応が多いサービスは、記録した時間から一件当たり工数を確認します。人件費の会計処理とは別に、受注上限の判断へ使います。
入口商品は次の購入まで追う
単体採算が薄い商品を集客目的で残す場合、どの商品へ何件つながったかを顧客IDで確認します。期待だけなら役割を再評価します。
商品・サービスを意思決定できる単位へ分ける
一件単位へ戻す
売上総額だけでなく、商品・案件・施策ごとの数量と金額を揃えます。
発生と入出金を分ける
売上・費用の計上月と、実際の入金・支払月を分けます。
期限と担当を決める
続行・修正・停止・相談の条件を先に決めます。
売上明細へ商品群コードを付け、値引き・返品を反映した実売単価と、販売に伴って増える費用をひも付けます。共通費の配賦で結論が大きく変わる場合は、配賦前の貢献額も併記します。
会計処理、税務申告、帳簿書類の保存、融資判断は事業形態や取引内容で異なります。制度の最新情報を公的機関で確認し、個別の税務判断は税理士等の有資格者へ相談してください。
商品名が違っても、同じ内容なら比較できるコードへそろえる
POS、請求、決済、仕入明細をつなぐ管理表です。会計帳簿を上書きせず、明細へ戻れる補助表として作ります。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 対象 | 統一する内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 商品群 | 単品・セット・追加作業 | 価格や仕様が違う版を残す |
| 数量 | 出荷・提供・返品 | 受注残を販売済みにしない |
| 単価 | 値引き後の自社売上 | クーポンの負担者を確認 |
| 費用 | 一件増えると増加する費目 | 月額固定費を混ぜない |
| 時間 | 制作・準備・修正の人時 | 同時対応の人数も数える |
J-Net21の仕入の案内では、商品群の売上・粗利益予算や販売データを確認する観点を挙げています。本表はそれを各社の判断へ使う編集部の整理例です。売れ筋だけで追加仕入を決めず、運転資金、保管、売れ残りの扱いも確認します。 参照:J-Net21:仕入のポイント。
実売単価から変動費を引いて一件貢献額を出す
商品別の一件貢献額
- 販売数量と値引き後の単価
- 仕入・材料・外注・配送
- 決済・販売手数料・返品
- 一件貢献額と月間貢献額額
在庫・時間・回収・商品の役割
- 受注から入金までの日数
- 制作・接客・修正の時間
- 在庫・前払い・最低発注量
- 主力商品への送客・継続効果
商品別採算は決算書を作り替えるものではなく、経営判断用の補助表です。費用区分と共通費配賦の前提を記載し、前年・前月との比較で同じ定義を使います。
売上が同じ100万円でも、貢献額は40万円と25万円に分かれる
同じ月の税抜例、単位は万円。変動費は商品仕入・外注・配送・決済等で、社内給与と共通固定費を含めない仮定です。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 項目 | 商品群A | 商品群B |
|---|---|---|
| 販売数量・単価 | 100件×1万円 | 50件×2万円 |
| 売上 | 100万円 | 100万円 |
| 一件変動費 | 0.6万円 | 1.5万円 |
| 月間変動費 | 100×0.6=60万円 | 50×1.5=75万円 |
| 一件貢献 | 1-0.6=0.4万円 | 2-1.5=0.5万円 |
| 月間貢献 | 100-60=40万円 | 100-75=25万円 |
Bは一件の貢献が高くても月間額ではAを下回ります。会社合計は売上200-変動費135=65万円。固定費50万円を引くと15万円です。この15万円は利息・税引前の例で、借入元金や在庫購入支出を直接引いた現金残高ではありません。

売上上位の商品ではなく、粗利額と回収速度を両立する商品を主力候補にする
商品群ごとに一件粗利、月間粗利額、必要工数、在庫負担、入金日を並べます。粗利の薄い商品は値上げ、仕様縮小、仕入変更、セット化、受注条件の見直しを試してから継続可否を判断します。
貢献額額・工数・入金速度を同時に比較する
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 項目 | 計算・確認方法 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 売上 | 実販売数量×値引き後単価 | 返品・取消を一度だけ反映 |
| 貢献額 | 売上-数量に連動する変動費 | 貢献額益と費目を区別 |
| 固定費 | 共通費と商品専用費を分離 | 配賦前後の両方を表示 |
| 判断 | 時間・需要・在庫・回収も確認 | 休止時に消える費用を特定 |
一件貢献額=実売単価-一件あたり変動費です。社内給与等の固定費はこの段階で控除しません。月間貢献額額は一件貢献額×実販売数量で確認し、在庫廃棄やまとめて発生する外注費は対象期間へ適切に反映します。
配賦後ゼロのBを止めると、全社利益が減る場合がある
上の月間貢献と固定費50万円を使う独立した判断例です。固定費のうちB休止で確実に消える支払は5万円、他45万円は残るとします。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 比較 | 計算 | 判断する点 |
|---|---|---|
| 等分配賦したA | 40-25=15万円 | 配賦基準に依存する数字 |
| 等分配賦したB | 25-25=0万円 | 貢献25万円は残っている |
| Bを休止した全社 | A40-残る固定45=-5万円 | 元の15万円より20万円減 |
| Aを値上げする別案 | 単価1.1×90件-0.6×90件=45万円 | A貢献は40から5万円増 |
| 元の貢献額を保つ数量 | 40÷(1.1-0.6)=80件 | 80件で値上げ前の貢献を維持 |
値上げ案とB休止案は別々に計算しています。90件売れることや固定費5万円が消えることは確認が必要な仮定です。解約精算、在庫処分、代替商品の需要を含め、配賦上の赤字だけで取引を止めません。
主力・入口・改善・休止候補へ役割を分ける
売れた原価と購入を分ける
値引き・返品・決済を照合
回収60万円・購入40万円
通常240・別案140万円
価格・商品構成・発注量
売れた月ではなく、仕入・外注の支払月と売上の入金月を商品群別に置きます。在庫を持つ商品は発注単位と滞留期間、受託サービスは着手金と検収後入金を反映します。
貢献額の高い商品へ集中しても、入金が遅く供給に先払いが必要なら資金負担が増えます。商品構成を変更した慎重ケースで、返済・給与後の最低残高を確認します。
当初の計画と比較する際は、日本政策金融公庫:創業計画の書き方で作成項目も確認できます。ここで示す管理表や数値は編集部の例です。自社の契約・見積・実績へ置き換えて使います。
回収60万円の延期と追加在庫40万円が重なる例
独立した税込現金表、単位は万円、開始300万円です。支出に仕入・給与・固定費・元利返済・税等を含みます。上の税抜採算の会社とは別例です。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 月・条件 | 実入金 | 実支出 | 月末現金 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 200万円 | 220万円 | 280万円 |
| 2か月目 | 180万円 | 210万円 | 250万円 |
| 3か月目 | 200万円 | 210万円 | 240万円 |
| 4か月目 | 220万円 | 220万円 | 240万円 |
| 5か月目 | 240万円 | 220万円 | 260万円 |
| 6か月目 | 240万円 | 240万円 | 260万円 |
| 別案・3か月目 | 140万円 | 通常210+在庫40=250万円 | 140万円 |
| 別案・4か月目 | 280万円 | 220万円 | 200万円 |
別案は2か月目末250万円から分岐し、60万円を4か月目に回収します。追加在庫40万円はこの期間に未販売で、購入支払が残る仮定です。回収後も通常より40万円少なく、下限180万円に対する不足は3か月目の40万円です。簿価40万円をそのまま売却入金にしません。
商品別採算に用意したい資料
POS・請求・決済データの商品名を統一し、仕入・外注・配送・手数料を商品群へひも付けます。完全な配賦が難しい場合は、判断に影響する大きな費用から始めます。
本記事は融資後の経営管理に関する一般情報です。特定の利益、集客、融資結果を保証せず、契約・表示・会計・税務・法令適用の個別判断は、最新の公的情報を確認したうえで有資格者や所管窓口へ相談してください。
商品群の役割と、改善を続ける条件を決める
利益が高い商品へ全て入れ替えればよいとは限りません。実際の需要と供給能力、会社全体の支払を確認します。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 役割 | 追う数字 | 見直し条件 |
|---|---|---|
| 主力 | 月間貢献と必要人時 | 能力不足や原価上昇 |
| 入口 | 次の購入につながる実績 | 期待だけで損失を正当化しない |
| 改善 | 値引き・返品・修正の原因 | 価格・仕様の変更後に再計測 |
| 休止候補 | 消える費用と残る費用 | 在庫・契約精算まで試算 |
| 新商品 | 試験販売と先払い | 売れる前に大量発注しない |
Aが一件0.5人時、Bが1人時なら、月間作業はどちらも50人時ですが貢献はAが8,000円/人時、Bが5,000円/人時です。空いた50人時へAを増やせるとは限らないため、追加需要と材料手配を確認します。記帳・電子明細の保存方法は国税庁の案内へ戻って確認してください。 参照:国税庁:電子取引関係。
商品の役割を残しながら、採算の改善を続ける
実売単価と決済の手取を混ぜない
決済会社からの入金は手数料や返金を差し引いた金額の場合があります。手取を売上にし、さらに手数料を費用へ引くと二重控除になります。売上総額、値引き・取消、手数料、手取を明細でつなぎ、自社が負担していないクーポンまで値引き扱いしないよう契約を確認します。
まとめ仕入を全額その月の販売原価にしない
仕入れた商品が未販売なら、現金は減っても費用計上の時点は別に確認します。期首在庫、当月仕入、販売数量、期末在庫を対応させ、廃棄や評価の判断は税務担当と整理します。資金表には実際の購入支払を置き、在庫が後日売れる根拠を採算と別に残します。
共通費の配賦基準を途中で変えない
売上、面積、人時などで配賦すると商品別の結果は変わります。基準を変えた月は旧基準との比較を残し、実際に費用が減ったように扱わないでください。配賦前の貢献額、商品に専用の固定費、全社共通費を分けると、休止で消える費用と残る負担を説明できます。
セット販売と入口商品は実際の購入で追う
安い商品が高い商品の購入につながるという説明には、同時購入や再購入の実績が必要です。セットの売上と費用を単品へ割り振る場合は基準を決め、セットと単品の両方へ同じ売上を足しません。将来の宣伝価値を現金収入へ置かず、確認期間と改善をやめる条件を決めます。
値上げは数量減と返品条件を同時に見る
単価だけ上げた表では、需要の減少や旧価格で受けた注文が隠れます。適用する注文日、見積の有効期限、返品や解約の条件を確認し、既存注文と新価格注文を分けます。変更後の販売数量、貢献額、作業時間、入金日を同じ期間で比較し、金融機関へも前提を示します。
創業融資サポートを利用したお客様の声
支援の進み方や相談時の状況を知るには、実際のお客様インタビューが参考になります。承認率などの集計数字ではなく、ご本人の体験を確認できる事例をご案内します。






融資のアイラボの料金と支援範囲
着手金0円・成功報酬5%+税
報酬は融資が実行され、着金したときに発生します。融資が実行されなかった場合、サポート報酬はかかりません。
契約前に、成功報酬の計算対象、消費税、支援期間、追加費用の有無、解約条件を確認します。支援を利用しても融資は保証されず、最終的な可否と条件は金融機関等が決定します。
よくある質問
一件の貢献と月間額、配賦前後、在庫購入と売れた原価を分けて確認します。商品別の数字だけで全社利益を判断しません。
商品数が多い場合はどこから始めますか?
売上が大きい、返品や修正が多い、原価が分からない商品群から始めます。商品コード、数量、実売単価、変動費をそろえ、単品とセットの二重計上を避けます。
人件費も商品原価へ入れますか?
分析目的と費用の性質で区別します。本例の変動費に社内給与は含めず、固定費として後で引きます。直接人件費を原価へ含む業務は定義を変え、同じ給与を二度引かないようにします。
共通の家賃はどう配賦しますか?
面積・時間など説明できる基準を決め、配賦前の貢献額も併記します。等分配賦でBがゼロでも、B休止で家賃が残るなら全社利益は改善しない場合があります。
粗利率が低い商品は廃止すべきですか?
率だけでなく額、時間、需要、入金、休止で消える費用を確認します。例ではBの貢献25万円を失い固定費が5万円しか減らないと、全社利益は20万円減ります。
値引きはどこへ反映しますか?
自社負担の値引き・返金を売上へ一度だけ反映します。決済手取から売上を作ると手数料の二重控除が起きるため、総額と控除明細を照合します。
毎月集計する必要がありますか?
月次を基本に価格・仕入・商品構成を変更した期間は細かく確認します。配賦や費用区分を変えた場合は旧定義も残し、実際の改善と集計方法の変更を区別します。
試算表だけで商品別採算は分かりますか?
科目だけでは分からない場合があります。POS、請求、仕入、決済、返品、作業人時を商品コードへつなぎ、総額を試算表と照合します。推測で商品別に割り振った額は仮定と明示します。
この記事の監修者・運営者情報

石川 康平
五常コンサルティング株式会社 代表取締役
2024年の問い合わせ・ヒアリング対応300件をもとに、創業融資の支援範囲・料金・制度情報について確認しています。
- 執筆・編集
- 融資のアイラボ編集部
- 監修
- 五常コンサルティング株式会社 代表取締役 石川 康平
- 公開日
- 2026年8月9日
- 最終更新日
- 2026年9月7日
- 制度情報の確認方法
- 日本政策金融公庫、信用保証協会などの公式ページを確認し、申込時は各窓口で最新情報を再確認します。
※記事内の相談場面を表現した写真は、内容を分かりやすく伝えるために作成したAI生成のイメージです。「お客様の声」に掲載しているお客様と監修者の写真は、実際のお客様・監修者の写真です。
確認した公式情報
制度情報確認日:2026年9月7日。利用制度と事業内容を伝え、申込時に各公式窓口へ最新の必要資料・条件を確認してください。
商品ごとの貢献・時間・先行支払から、改善と必要資金を整理する
商品・サービス別の実売単価、変動費、貢献額、工数、入金を並べ、残す商品と改善条件を整理します。相談時点で契約する必要はなく、現在ある資料と社内の運用から確認できます。
資料が完成していなくても、相談した時点で契約する必要もありません。
※融資の可否、金額、利率、返済期間、担保・保証人などの条件は、各金融機関・信用保証協会の審査により決定されます。融資のアイラボは金融機関ではなく、融資の実行を保証するものではありません。
※本記事は2026年9月7日時点の公表情報をもとに作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、申込時には必ず各公式窓口で最新情報をご確認ください。
