商品数が多いだけで事業を分ける必要はありません。顧客、提供方法、原価、許認可、担当者、入金条件が大きく異なる単位を事業区分とし、補足表を作って創業計画書の合計と一致させます。
本文の売上、原価、配賦率、時間、現金は架空です。配賦70対30は会計・税務上の正解や融資基準ではなく、管理例です。実際の利用時間、面積、件数等から合理的な基準を決め、専門家へ確認します。

物販とサービスの合計売上は出したが、赤字の事業と資金不足の時期が見えない
- 合算事業別の単価・数量・原価を示さず、合計月商だけを置いている
- 共通費家賃や広告費を二重計上するか、どの事業にも負担させていない
- 順序許認可・採用・在庫準備の違いを無視し、全事業が初月から計画通り動く前提になっている
この記事の結論
- 事業別に売上と直接費を作る
サービス100万円・物販60万円、直接費合計66万円の例です。 - 共通費は一度だけ配賦
60万円を担当時間70対30で分け、A28万円・B6万円を残します。 - 代表者160時間を超えない
A100時間、B40時間、共通20時間で合計160時間です。
顧客・提供・原価・入金が違う単位で事業を分ける
サービスAと物販Bを併営する架空例です。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 入力項目 | 事業A:サービス | 事業B:物販 |
|---|---|---|
| 顧客・契約 | 法人20社・月額契約 | 個人・都度購入 |
| 売上式 | 月額5万円×契約数 | 単価3,000円×販売数 |
| 直接費 | 担当作業・外注・決済 | 仕入・梱包・配送・決済 |
| 能力上限 | 担当者時間・契約数 | 仕入・在庫・発送件数 |
| 入金 | 当月・翌月等の契約条件 | 決済会社の締日・入金日 |
| 専用資金 | サービス設備・営業 | 初回在庫・保管・梱包 |
| 共通 | 家賃・代表者・会計・通信 | 同じ費用を二度計上しない |
事業Aの顧客がBも買う場合でも、Aの売上をBへ移したり、同じ購入を二重計上したりしません。対象数、提案率、購入率を独立して計算します。
許認可や契約が異なる場合は開始日も分けます。第2事業の準備が遅れても主力事業の提供を妨げないかを確認します。
サービス100万円・物販60万円なら、事業別粗利は合計94万円
共通費を引く前の架空月次です。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 事業別採算 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| A売上 | 20契約×50,000円 | 1,000,000円 |
| A直接費 | 作業・外注・決済等 | 300,000円 |
| A粗利 | 100万-30万円 | 700,000円 |
| B売上 | 200個×3,000円 | 600,000円 |
| B直接費 | 仕入・梱包・配送等 | 360,000円 |
| B粗利 | 60万-36万円 | 240,000円 |
| 全社売上 | 100万+60万円 | 1,600,000円 |
| 直接費合計 | 30万+36万円 | 660,000円 |
| 事業別粗利合計 | 70万+24万円 | 940,000円 |
日本政策金融公庫「創業計画書セルフチェック・収支計画」は売上高・売上原価・経費を計算根拠から作るよう示しています。事業AとBで原価率を一つに平均せず、単価・数量・直接費を個別に積み上げます。
94万円は共通費、返済、税金等を引く前です。物販在庫の購入額と売れた商品の原価、サービスの人件費配賦を会計専門家と確認します。
共通費60万円を担当時間70対30で配賦する例
配賦率は架空です。同じ費用を全社と各事業で重複して引きません。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 共通費・配賦 | A 70% | B 30% |
|---|---|---|
| 共通費合計 | 420,000円 | 180,000円 |
| 家賃・光熱等30万円 | 210,000円 | 90,000円 |
| 管理・会計・通信20万円 | 140,000円 | 60,000円 |
| 共通広告10万円 | 70,000円 | 30,000円 |
| 配賦後の事業利益 | 70万-42万円=280,000円 | 24万-18万円=60,000円 |
| 全社の配賦後利益 | 28万+6万円 | 340,000円 |
| 照合 | 配賦42万+18万=60万円 | 全社粗利94万-60万=34万円 |
担当時間を基準にするなら、実際の時間記録から70対30を検証します。家賃は面積、決済基本料は件数など、費用ごとに異なる基準を使う場合も方法を記録します。
配賦後のB利益6万円が小さくても、配賦方法だけを変えて採算を良く見せません。全社現金と事業別の直接収支も一緒に見ます。
代表者の月160時間を、A100・B40・共通20へ配分する
同じ時間帯に二事業を同時処理できるとは限りません。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 代表者の時間 | 月間時間 | 能力・費用への反映 |
|---|---|---|
| Aのサービス提供 | 80時間 | 契約20社の対応能力と照合 |
| Aの営業・更新 | 20時間 | 新規提案・解約対応 |
| Bの仕入・在庫・発送 | 40時間 | 販売200個の処理能力と照合 |
| 全社管理・会計 | 20時間 | 両事業へ二重計上しない |
| 合計 | 80+20+40+20 | 160時間 |
| 追加企画20時間を加える場合 | 160+20 | 180時間で20時間超過 |
| 超過への対応 | 採用・外注・開始延期 | 費用、教育、品質を計画へ |
代表者の時間を無料・無制限としません。Aの顧客対応とBの発送が同じ時間帯へ集中する場合は、月間合計が160時間以内でも日別に実行できないことがあります。
追加企画20時間を始めるなら、既存作業を減らすか外注等が必要です。売上だけを追加し、必要時間と費用を省かないでください。
Bを同時開始すると月末194万円、段階開始なら290万円の例
月初現金300万円から、B初回在庫100万円を同時に購入するかを比較します。
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 当月の現金項目 | A・B同時開始 | Aのみ開始 |
|---|---|---|
| 月初現金 | 3,000,000円 | 3,000,000円 |
| Aの実入金 | +800,000円 | +800,000円 |
| Bの実入金 | +500,000円 | 0円 |
| B初回在庫 | ▲1,000,000円 | 0円 |
| A直接支払 | ▲300,000円 | ▲300,000円 |
| B直接支払 | ▲360,000円 | 0円 |
| 共通支払 | ▲600,000円 | ▲500,000円 |
| 借入返済 | ▲100,000円 | ▲100,000円 |
| 月末現金 | 1,940,000円 | 2,900,000円 |
| 段階開始との差 | ― | +960,000円 |
同時開始は300万+80万+50万-100万-30万-36万-60万-10万=194万円です。Aのみは300万+80万-30万-50万-10万=290万円です。
段階開始が常に優れるわけではありません。Bの売上開始も遅れます。最低残高、在庫発注期限、Aの粗利・解約、人員、許認可を開始条件にし、判断日を追加発注より前へ置きます。
複数事業がある創業計画書で想定される相談内容
以下は実績・成功事例ではなく、相談時に整理対象となりやすい状況を示した想定ケースです。融資条件、契約、会計処理、保存期間は各社で異なるため、自社資料と最新の公的情報で確認してください。
店舗サービスとEC物販を同時に始める計画で、事業別粗利と共通費を分けたい
受託業務を先に開始し、月額サービスは顧客数が基準へ達してから始めたい
複数事業の設備と広告が重複しているため、必要資金と開始順を見直したい
複数事業を一つの創業計画へ統合する5工程
区分、事業別採算、共通費、全社資金、判断基準の順です。
- 01事業区分を決める顧客・商品・経路・原価
- 02事業別採算を作る売上・変動費・粗利・能力
- 03共通費を配賦する売上比・時間・面積等
- 04資金繰りへ統合する支払月・入金月・返済
- 05判断基準を置く開始・継続・縮小・撤退
第2事業の開始は、主力事業・残高・実行能力の三条件で決める
売上機会だけで開始しません。
受注・粗利・再来率
設備・在庫・入金ずれ
時間割・担当・開始期限
確認の組合せ全社月末現金=前月末現金+事業A入金+事業B入金-各事業支出-共通支出-返済等
複数事業がある創業計画書について判断軸を整理した図です。個別案件の処理結果や融資条件を確定するものではないため、実際の画面表示と日本公庫の案内を優先してください。
この事業で融資前に数値化するポイント
相互送客は独立した根拠として計算する
事業Aの顧客全員が事業Bも利用する前提を置かず、対象顧客数、提案率、購入率、平均単価を分けます。開業前の予約や試験販売があれば、通常顧客と重複顧客を区別します。
代表者の時間を二重に使わない
同じ営業時間に二事業を一人で運営できるとは限りません。営業、提供、仕入、管理を時間割へ落とし、外注・採用の開始時期と費用を確認します。
撤退基準は売上だけで決めない
粗利、顧客獲得費、在庫、未回収、代表者時間、主力事業への影響を合わせます。判断日は契約更新や追加発注より前に置きます。
顧客・提供方法・原価構造から事業区分を決める
事業別の式で計算
単価・数量・契約数・稼働率を分けます。
直接費と共通費を区分
配賦基準と二重計上を確認します。
開始条件を設定
許認可、資金、人員、受注の基準を決めます。
事業別計画には、対象顧客、商品・サービス、販売経路、単価、数量、売上、変動費、粗利、担当時間、専用設備、専用在庫、入金条件を記載します。全社表には共通費、借入返済、税金、生活費、月末現金を置き、事業別表と合計が一致するか確認します。
融資制度、利率、必要書類、審査上の取扱いは、申込時期、申込先、制度、事業内容、個別事情で異なります。公式の最新情報を確認し、申込先と必要に応じて有資格者へ相談してください。
事業ごとに単価・数量・能力上限を積み上げる
専用設備・仕入・立上げ費
- 事業Aの設備・在庫・広告・許認可
- 事業Bのシステム・外注・採用・試作
- 販売経路別の決済・配送・出店費
- 事業開始前の研修・テスト・予備費
家賃・管理・共通基盤
- 家賃・水道光熱・通信・保険
- 代表者・管理担当者の共通時間
- 会計・予約・顧客管理システム
- 借入返済・税金・生活予備費
例えば主力サービスへ400万円、物販へ150万円、共通費へ200万円が必要なら、単純に二事業の希望額を足すのではなく、共用できる設備、仕入時期、第2事業の開始条件を確認します。第2事業を3か月遅らせる案では、売上減だけでなく初期支出の後ろ倒しと主力事業への集中効果も比較します。

事業A単独、AからBへ段階開始、A・B同時開始の三案で最低現金残高を比較する
月額サービスは粗利が高くても顧客獲得に時間がかかり、物販は早く売れても仕入と在庫が先行することがあります。売上合計だけでなく、現金が入る順序と代表者が使える時間を三案へ反映します。
直接費と共通費を分けて事業別粗利を確認する
表は左右に動かせます。
項目名は固定表示です。
| 項目 | 計算・確認方法 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 事業A | 単価×契約数・稼働率 | 見積、予約、商談、能力上限 |
| 事業B | 商品単価×販売数 | 仕入見積、試験販売、在庫回転 |
| 直接費 | 各事業だけに発生 | 材料、外注、決済、配送 |
| 共通費 | 合理的な基準で配賦 | 家賃、管理時間、システム |
補足表には計算式、根拠資料、更新日、低位・基準・高位のケースを付けます。事業Aの顧客が必ず事業Bも購入するなど、相互送客を根拠なしに重ねないよう、重複顧客数と購入率を別に置きます。
設備・在庫・人員・入金時期を全社資金繰りへ統合する
顧客・商品・経路・原価
売上・変動費・粗利・能力
売上比・時間・面積等
支払月・入金月・返済
開始・継続・縮小・撤退
月別資金繰りでは、事業別売上の入金日、仕入・外注の支払日、共通固定費、返済、税金を一つの口座残高へ統合します。事業別では黒字でも、もう一方の先行投資で全社現金が不足する場合があります。
開業後は事業別の売上、粗利、獲得費、担当時間、入金遅延を月次で確認します。共通費の配賦で見かけの利益を調整せず、現金増減と全社利益も並べて、追加投資や停止の判断日を守ります。
制度、許認可、手続、融資条件は変更される場合があります。申込時は公的機関の最新情報と金融機関の案内を確認してください。
開始・継続・縮小・撤退を判断する数値と期限を決める
同じ売上を二つの事業へ計上したり、同じ設備費を両方の必要資金へ入れたりしないよう、全社合計との照合欄を設けます。事業追加に許認可や契約変更が必要な場合は、関係機関へ確認します。
2026年9月1日に日本政策金融公庫の創業計画、資金計画、収支計画の関連箇所を確認しました。事業区分、共通費配賦、開始順、撤退基準に公的な一律基準は用いず、本文の数値は架空例です。会計・税務・許認可は個別に確認してください。
創業融資サポートを利用したお客様の声
支援の進み方や相談時の状況を知るには、実際のお客様インタビューが参考になります。承認率などの集計数字ではなく、ご本人の体験を確認できる事例をご案内します。






融資のアイラボの料金と支援範囲
着手金0円・成功報酬5%+税
報酬は融資が実行され、着金したときに発生します。融資が実行されなかった場合、サポート報酬はかかりません。
契約前に、成功報酬の計算対象、消費税、支援期間、追加費用の有無、解約条件を確認します。支援を利用しても融資は保証されず、最終的な可否と条件は金融機関等が決定します。
よくある質問
事業区分、事業別粗利、共通費配賦、代表者時間、開始順を確認します。
創業計画書を事業ごとに2枚作りますか?
提出方法は申込先へ確認します。事業別の補足表を作り、提出する創業計画書の全社合計と一致させます。
事業をどこで分けますか?
顧客、商品・サービス、販売経路、原価、許認可、担当、入金条件が大きく異なる単位を検討します。
共通の家賃はどう分けますか?
使用面積、担当時間、売上等の合理的な基準を決めます。本文は担当時間70対30の架空例です。
共用設備は両事業へ全額入れますか?
全社必要資金では一度だけ計上します。事業別表では用途・利用割合を補足し、二重計上しません。
相互送客を売上へ入れられますか?
対象顧客数、提案率、購入率を分け、同じ売上を両事業へ重複計上しません。実績がなければ慎重に置きます。
代表者が両方担当してもよいですか?
同じ時間を二重に使いません。営業、提供、仕入、発送、管理を時間割へ置き、超える場合は採用・外注費を計上します。
第2事業はいつ開始しますか?
主力粗利、最低現金、人員、許認可、受注等の開始条件と判断日を決め、同時・段階開始を比較します。
この記事の監修者・運営者情報

石川 康平
五常コンサルティング株式会社 代表取締役
2024年の問い合わせ・ヒアリング対応300件をもとに、創業融資の支援範囲・料金・制度情報について確認しています。
- 執筆・編集
- 融資のアイラボ編集部
- 監修
- 五常コンサルティング株式会社 代表取締役 石川 康平
- 公開日
- 2026年8月12日
- 最終更新日
- 2026年9月1日
- 制度情報の確認方法
- 日本政策金融公庫、信用保証協会などの公式ページを確認し、申込時は各窓口で最新情報を再確認します。
※記事内の相談場面を表現した写真は、内容を分かりやすく伝えるために作成したAI生成のイメージです。「お客様の声」に掲載しているお客様と監修者の写真は、実際のお客様・監修者の写真です。
確認した公式情報
制度内容や申込方法は改定される場合があります。申込時には各公式ページと窓口で最新情報をご確認ください。PDFは容量が大きい場合があるため、スマートフォンでは通信環境にもご注意ください。
制度情報確認日:2026年9月1日
確認範囲:公庫の創業計画、資金・収支計画。事業区分、共通費配賦、開始順、撤退基準に公的な一律基準は用いていません。
複数事業がある創業計画書の確認表を整える
事業別売上、直接費、共通費、必要資金、開始条件、撤退基準を一枚へまとめます。資料が完成していなくても、現時点の事実と不足資料から確認できます。
資料が完成していなくても、相談した時点で契約する必要もありません。
※融資の可否、金額、利率、返済期間、担保・保証人などの条件は、各金融機関・信用保証協会の審査により決定されます。融資のアイラボは金融機関ではなく、融資の実行を保証するものではありません。
※本記事は2026年9月1日時点の公表情報をもとに作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、申込時には必ず各公式窓口で最新情報をご確認ください。
