資本金は株主が会社へ出資した額のうち資本金等として計上されるもので、原則として会社から自由に返してもらう預金ではありません。会社法上の出資、株式、資本金の手続とつながるため、設立時の定款・払込証明・登記内容と会計処理を一致させます。
役員借入金は、役員が会社へ貸したお金を会社の負債として記録するものです。返済条件を決められる余地がありますが、会社から見れば返済義務のある資金です。返済を急げば創業直後の現金を減らすため、融資返済と同じ資金繰り表で時期を確認します。
融資申込で確認される自己資金は、勘定科目名だけで自動判定されません。いつ、誰が、どの収入から形成し、会社へどう入れ、何へ使ったかを通帳、振込記録、設立資料、元帳でつなぎます。直前の現金入金や第三者からの一時借入は別途説明が必要です。
全額を一方に寄せるのではなく、対外的な資本の厚み、創業者へ返す必要、生活予備費、登記・税務コスト、将来の増資を比較します。税務・会社法上の処理は税理士、司法書士等へ確認し、融資申込先には資料の見せ方と判断時点を確認します。

会社へ入れたお金は同じなのに、資本金と役員借入金で何が変わるか分からない
- 表示資本金は純資産、役員借入金は負債という貸借対照表上の違いを見ていない
- 返済役員借入金をいつ返すか決めず、融資返済開始後の現金残高を試算していない
- 証拠個人口座から会社口座までの入金経路と、設立書類・会計帳簿がつながっていない
この記事の結論
- 目的から配分
信用の土台、返済可能性、生活予備費を分けて金額を決めます。 - 二つの残高を追跡
資本金と役員借入金を別科目にし、振替理由も保存します。 - 返済を資金繰りへ
役員への返済は融資返済・税金・仕入と同じ月次表へ入れます。
同じ800万円でも、資本金は純資産、役員借入金は会社が返す負債
| 項目 | 資本金 | 役員借入金 |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 純資産 | 負債 |
| 会社からの返済 | 通常の返済ではない | 契約に基づく返済予定 |
| 主な根拠 | 払込・登記・会計 | 貸付契約・入金・会計 |
| 融資資料 | 形成履歴と払込 | 原資・条件・返済計画 |
名称だけを「自己資金」にまとめず、誰の資金が、いつ、どの口座から会社へ入り、会社が返す予定かを明示します。個別の法務・税務処理は専門家へ確認します。
必要資金1,500万円を、資本金500万円・役員借入金300万円・金融機関借入700万円で満たす
以下の金額は資金構成を示す架空例です。
| 調達 | 架空金額 | 区分 |
|---|---|---|
| 資本金 | 500万円 | 純資産 |
| 役員借入金 | 300万円 | 役員への負債 |
| 金融機関借入 | 700万円 | 金融機関への負債 |
| 調達合計 | 500+300+700=1,500万円 | 必要資金と一致 |
創業者資金800万円のうち、500万円と300万円を別々の根拠へ結び付けます。同じ800万円を資本金と役員借入金の両方へ二重計上しません。
総資産1,500万円なら、資本金500万円案の自己資本比率は33.3%
事業開始直前で資産が現金だけという簡略化した架空例です。
| 構成 | 純資産 | 負債 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|
| 資本金800・役員借入0 | 800万円 | 700万円 | 800÷1,500=53.3% |
| 資本金500・役員借入300 | 500万円 | 1,000万円 | 500÷1,500=33.3% |
| 資本金300・役員借入500 | 300万円 | 1,200万円 | 300÷1,500=20.0% |
比率だけで最適案を決めません。資本金に伴う法務・税務、創業者個人の生活予備、役員借入の返済予定も同時に確認します。
役員借入金300万円を60か月で返すなら月5万円。金融機関返済と合わせて余力を確認する
返済期間、資金余力、金融機関返済は架空例で、返済を推奨するものではありません。
| 項目 | 架空月額 | 計算 |
|---|---|---|
| 事業からの返済前余力 | 25万円 | 利益・減価償却等から確認 |
| 金融機関元金返済 | マイナス10万円 | 返済予定表 |
| 役員借入金返済 | マイナス5万円 | 300÷60 |
| 返済後余力 | 10万円 | 25-10-5 |
| 役員返済を保留した場合 | 15万円 | 契約・会計を別途確認 |
会社資金が不足するときに役員返済を機械的に続けず、契約、金融機関への説明、税務処理、創業者の生活資金を含めて確認します。
資本金と役員借入金で想定される3つの相談
以下は実績・審査事例ではなく、確認対象を示す想定例です。
創業者資金800万円を資本金500万円・役員借入金300万円へ分けたい
必要資金1,500万円と三つの調達区分を一致させたい
役員借入金の月返済5万円を含む返済後余力10万円を検証したい
創業時の資本構成と借入申込資料の整理で想定される相談内容
以下は実績・成功事例ではなく、相談時に整理対象となりやすい状況を示した想定ケースです。融資条件、契約、会計処理、保存期間は各社で異なるため、自社資料と最新の公的情報で確認してください。
設立時500万円を全額資本金にするか、一部を役員借入金にするか比較したい
設備代を個人で先払いしたため、資本金払込と立替を整理したい
役員借入金返済を始めても融資返済と運転資金を維持できるか試算したい
創業者資金を会社へ入れる判断の5段階
必要額、資金源、法的性質、返済、証拠の順です。
- 01必要資金を確定設備・運転・生活予備
- 02入金経路を整理個人・払込・会社
- 03性質を決定資本か役員貸付か
- 04返済を試算標準・売上遅延
- 05資料を一致登記・帳簿・申込
配分は、資本の安定性・返済必要性・証拠の連続性で決める
三つを同じ比較表へ置きます。
純資産・最低残高
時期・月額・家計
通帳・登記・帳簿
確認の組合せ説明可能な資本構成=必要資金との整合+返済後の現金余力+入金経路の連続性
この図は創業者資金を資本金、役員借入金、金融機関借入、返済予定へ分ける整理軸です。最適構成や融資結果を断定せず、資金履歴と専門家確認を優先してください。
この事業で融資前に数値化するポイント
資本金の大きさだけで審査結果は決まらない
資本金額に加え、必要資金との釣合い、創業者の形成過程、既に使った金額、事業の収支、外部借入を返せるかが個別に確認されます。見栄えのためだけに一時的な資金を入れないようにします。
役員借入金を返済不要と口頭説明しない
返済を当面求めない方針でも、負債としての性質は残ります。条件変更や債務免除には会計・税務上の論点があるため、返さない前提なら専門家と資本化を含めて検討します。
設立前支出を二重に数えない
創業者が設備代を先払いし、後から会社へ現金も入れた場合、立替金・役員借入金・資本金の対応を確認します。資金使途表と貸借対照表を突合し、同じ500万円を複数の原資として表示しません。
資本金を返済不要の純資産として整理する
会社のお金か借りたお金か
出資資料、金銭消費貸借の合意、会計科目を一致させます。
元手はどこから来たか
給与、貯蓄、資産売却等から会社入金までを通帳で示します。
会社がいつ返せるか
売上遅延時も含む月次現金残高で試算します。
設立時貸借対照表には、現預金、設備、開業費、資本金、役員借入金、外部借入を分けます。資本金払込口座、会社口座への移動、設備代金の支払日を時系列にし、同じお金を資本金と自己資金へ二重計上しません。役員借入金は金額、発生日、目的、返済方針、利息の有無を会計・税務の専門家と確認します。
制度要件、必要書類、申込窓口、利率、審査上の取扱いは、申込時期、申込先、地域、個別事情で異なります。公式資料と申込先の最新案内を優先してください。融資の可否、金額、資金使途、条件は金融機関等が審査して決定します。
役員借入金を返済条件のある会社負債として整理する
返済不要の土台と返済可能な負債を混同しない
- 設立時の払込額と株主
- 登記事項と資本金計上額
- 事業継続のため残す金額
- 将来の増資・株主構成
毎月先行する支出
- 会社への入金日と目的
- 返済開始月・月額・据置
- 創業者個人の生活予備費
- 融資返済との優先順位
配分例は正解ではありません。必要資金総額から外部借入、補助金の後払い、創業者の投入可能額を整理し、資本金として固定する額と会社が将来返す額を分けます。役員借入金を自己資金の代用品と表現せず、負債であること、資金源、返済方針を説明します。

会社口座への500万円を、資金源・法的性質・返済予定へ分ける
一括入金をそのまま自己資金と説明するのではなく、設立払込、追加の運転資金貸付、既に支払った設備代を分けます。役員借入金の返済を開業直後から始める案と、売上安定後まで据え置く案で最低現金残高を比較し、配分理由を説明できる形にします。
創業者個人から会社までの入金経路を証拠でつなぐ
| 項目 | 計算・確認方法 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 資本金 | 純資産・出資・原則自由返済なし | 定款・払込・登記・総勘定元帳 |
| 役員借入金 | 負債・会社から役員への返済対象 | 入出金記録・合意内容・返済表 |
| 自己資金資料 | 創業者が形成した経緯 | 個人口座から会社口座まで連続表示 |
| 資金繰り | 外部借入と役員返済を月別表示 | 売上遅延時の残高も試算 |
設立日前後は個人口座、払込口座、会社口座、取引先への支払いがまたがります。日付、金額、名義、目的、対応する仕訳を一覧にし、同額の移動を新しい自己資金と数えません。資本から負債、負債から資本へ変更する場合は自己判断で振り替えず、法務・税務手続を確認します。
役員返済を借入返済と同じ資金繰り表へ入れる
設備・運転・生活予備
個人・払込・会社
資本か役員貸付か
標準・売上遅延
登記・帳簿・申込
資金繰り表では、資本金は返済予定のない調達欄、役員借入金は借入残高と返済欄へ置きます。役員借入金の返済を利益が出た月だけで判断すると、税金や仕入支払いと重なる可能性があるため、現金残高で判断します。
創業者個人の生活予備費を全額会社へ入れると、会社からの役員報酬や借入返済を早める必要が生じます。事業の安全余力と家計の安全余力を別表にし、同じ預金を両方へ計上しません。
制度、許認可、手続、融資条件は変更される場合があります。申込時は公的機関の最新情報と金融機関の案内を確認してください。
設立・税務・融資の三つの観点で配分を決める
書類の名義と日付を優先します。現金手渡しやまとめ入金は、資金源と受領経緯を補足します。設立後に個人が立替えた費用は、領収書、支払口座、事業目的を確認し、設立時の資本金払込と混ぜません。
本記事は資本金と役員借入金の一般的な整理です。最適な資本構成、税務、登記、利息、返済可否、融資審査上の評価を確定するものではありません。会社法・税務は資格者へ、融資上の取扱いは申込先へ個別に確認してください。
創業融資サポートを利用したお客様の声
支援の進み方や相談時の状況を知るには、実際のお客様インタビューが参考になります。承認率などの集計数字ではなく、ご本人の体験を確認できる事例をご案内します。






融資のアイラボの料金と支援範囲
着手金0円・成功報酬5%+税
報酬は融資が実行され、着金したときに発生します。融資が実行されなかった場合、サポート報酬はかかりません。
契約前に、成功報酬の計算対象、消費税、支援期間、追加費用の有無、解約条件を確認します。支援を利用しても融資は保証されず、最終的な可否と条件は金融機関等が決定します。
よくある質問
申込み方法や必要書類は制度・窓口・事業内容によって異なります。個別条件は必ず担当窓口へご確認ください。
資本金と役員借入金は何が違いますか?
資本金は純資産、役員借入金は会社が役員へ返済義務を負う負債として扱う点が基本的な違いです。個別処理は専門家へ確認します。
役員借入金も自己資金として説明できますか?
呼び方だけで決めず、創業者の資金形成、会社への入金、契約、返済予定、資金使途を申込先へ事実どおり示します。
資本金は多いほど融資に有利ですか?
一要素だけで融資結果は決まりません。必要資金、事業規模、自己資金履歴、返済余力、法務・税務への影響を総合して決めます。
会社口座へ一括入金してもよいですか?
資本金と貸付金の金額・日付・根拠を分け、払込証明、金銭消費貸借契約、会計記録と一致させます。
役員借入金はいつ返済できますか?
契約、会社の資金繰り、他の返済、税務上の取扱いを確認します。創業直後から返済する場合は月次資金繰りへ明記します。
資本金を後から増やせますか?
増資には会社法上の手続や登記等が関係します。資金需要と時期を整理し、司法書士・税理士等へ確認してください。
融資相談には何を用意しますか?
創業者通帳、払込記録、登記事項、役員借入契約、会社通帳、資金使途、返済予定、創業計画書を時系列でそろえます。
この記事の監修者・運営者情報

石川 康平
五常コンサルティング株式会社 代表取締役
2024年の問い合わせ・ヒアリング対応300件をもとに、創業融資の支援範囲・料金・制度情報について確認しています。
- 執筆・編集
- 融資のアイラボ編集部
- 監修
- 五常コンサルティング株式会社 代表取締役 石川 康平
- 公開日
- 2026年8月12日
- 最終更新日
- 2026年8月27日
- 制度情報の確認方法
- 日本政策金融公庫、信用保証協会などの公式ページを確認し、申込時は各窓口で最新情報を再確認します。
※記事内の相談場面を表現した写真は、内容を分かりやすく伝えるために作成したAI生成のイメージです。「お客様の声」に掲載しているお客様と監修者の写真は、実際のお客様・監修者の写真です。
確認した公式情報
制度内容や申込方法は改定される場合があります。申込時には各公式ページと窓口で最新情報をご確認ください。PDFは容量が大きい場合があるため、スマートフォンでは通信環境にもご注意ください。
制度情報確認日:2026年8月27日
創業時の資本構成と借入申込資料の整理の確認表を整える
創業者資金を、資本金・役員借入金・個人生活予備費へ分け、入金経路と返済案を一枚へまとめます。相談時点で契約する必要はなく、現在ある資料から不足と次の行動を整理できます。
資料が完成していなくても、相談した時点で契約する必要もありません。
※融資の可否、金額、利率、返済期間、担保・保証人などの条件は、各金融機関・信用保証協会の審査により決定されます。融資のアイラボは金融機関ではなく、融資の実行を保証するものではありません。
※本記事は2026年8月27日時点の公表情報をもとに作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、申込時には必ず各公式窓口で最新情報をご確認ください。
