出資は株式等の権利、融資は元利返済を確認
普通株式の出資と借入の基本比較
出資を受ける
通常は元利返済なし。持株比率・投資家の権利を確認
融資を受ける
元金と利息を返す。返済日・月額・資金使途を確認
出資が決まっても融資が自動承認されるわけではありません。転換型の契約は株式になる時期・条件や償還等の定めも個別に確認します。
出資と融資の条件比較表
日本政策金融公庫はスタートアップの創業ポイントで、VC出資と融資の性質を分け、近年は融資を利用するケースも増えていると案内しています。また、新規開業・スタートアップ支援資金の対象・特別利率要件には一定の投資事業有限責任組合等から出資を受けている方・見込まれる方に関する記載があります。実際の利用可否と条件は個別審査です。
| 項目 | エンジェル・VC出資 | 創業融資 |
|---|---|---|
| 資金の性質 | 株式等に伴う権利を渡す資金調達(会計上の区分は契約別) | 返済を伴う借入 |
| 入金確定 | 契約、前提条件、払込完了を確認 | 審査、契約、融資実行を確認 |
| 主な負担 | 新株発行による持株割合の低下(希薄化)、情報・同意・株式売却等による投資回収(Exit)の権利 | 元金、利息、返済条件 |
| 資金使途 | 投資契約・事業計画との整合 | 申込・契約で確認された設備・運転資金 |
| 未達時 | 次回調達・契約条件への影響 | 返済継続と早期相談 |
「出資が決まるから返済できる」ではなく、融資返済は既存売上・粗利・回収日から説明します。次回の資金調達が未契約・未入金なら、確定した返済原資として扱わず、慎重案ではその入金を外して計算します。
開発費1,200万円を、出資700+融資500へ分ける
開発費に充てる出資700万円
開発費に充てる融資500万円
計画全体は自己500・出資1,000・融資1,500万円。開発費を各調達先に全額ずつ足すと二重になります。別々の費目への配分と融資対象は、下の全体表と申込先で確認します。
全3,000万円の使途・資金源表
| 使途 | 必要額 | 主な資金源の仮定 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 製品開発 | 1,200万円 | 出資700+融資500 | 開発工程・外注見積 |
| 採用・人件費 | 800万円 | 融資600+自己200 | 職種・採用月・給与 |
| 営業・顧客検証 | 600万円 | 出資300+融資300 | KPI・媒体・商談表 |
| 予備運転資金 | 400万円 | 自己300+融資100 | 慎重資金繰り |
| 合計 | 3,000万円 | 自己500+出資1,000+融資1,500 | 資金源別に重複なし |
すべて計算方法を示す仮定例で、調達額の目安ではありません。同じ開発費1,200万円を出資計画と融資申込の双方で全額賄うように書かず、どの資金がどの支払へ使われるかを明示します。出資払込前に使う金額には、別の確定資金または支出延期案が必要です。
出資が3か月遅れた場合の残高
自己資金500万円と融資1,500万円の入金が完了した時点を開始点とし、開始時現金を2,000万円とします。この遅延試算では月250万円を返済・税等も含む全支払の仮定額とし、出資以外の追加入金はないものとします。出資1,000万円が3か月目予定から6か月目へ遅れても、5か月分1,250万円を支払った時点の残高は750万円です。ただし最低残高を計画の予備運転資金と同じ400万円とするなら余裕は350万円で、採用前倒しや開発追加は止める判断が必要です。
出資前9,000万円に1,000万円を加えると10%
既存株主に対応する評価90%
新規投資家の出資10%
出資前の評価額をプレマネー、出資後をポストマネーと呼びます。9,000+1,000=10,000万円、1,000÷10,000=10%。会社の現金が1億円ある意味ではなく、他の株式・転換条件等を除いた単純例です。
評価額・投資契約の確認表
出資前の企業評価額(プレマネー)9,000万円で1,000万円を普通株式へ出資する単純仮定なら、出資後の企業評価額(ポストマネー)は1億円、新規投資家の比率は10%です。これは種類株式、既存新株予約権、将来の役職員向け新株予約権の枠、転換条件、複数投資家を無視した単純例です。新株予約権の行使や転換等を反映した実際の持株割合は資本政策表で専門家と確認します。
| 投資側の確認 | 融資・経営への影響 | 用意する資料 |
|---|---|---|
| 払込前提条件・払込日 | 現金化の確度 | 主な投資条件を整理する書面(タームシート)・契約・通帳 |
| 優先分配・転換条件 | 将来の資本構成 | 種類株式要項 |
| 事前承諾・拒否権 | 借入・設備・重要契約の意思決定 | 株主間契約 |
| 情報提供・予算承認 | 月次管理と計画変更 | 報告様式・取締役会予定 |
| 追加出資・株式売却等による投資回収の条件 | 次回調達とM&A | 資本政策・調達工程 |
投資契約には、資金の受取りだけでなく、出資後の経営への関与や情報提供の条件も含まれます。下記の経済産業省資料は従来の参照先であり、今回は本文の再確認ができていません。ひな型をそのまま採用せず、借入に投資家承諾が必要か、担保・保証、資金使途変更、予算未達時の扱いを弁護士等へ確認します。
出資が遅れた5か月末、現金750万円を点検する
- 自己500+融資1,500万円これらの入金完了後を開始点にする
- 月250万円を5か月支払う追加の入金はないと仮定
- 5か月末は750万円2,000−250×5=750万円
出資1,000万円は3か月目から6か月目へ遅延する想定です。月250万円には返済・税等を含む全支払を仮置き。6か月目の入金も未確定なら足さず、支払日ごとの残高を確認します。
出資遅延時の条件と月別残高
出資金が入る前に採用や開発契約を進める場合、入金遅延時の支払いを確認します。融資実行を前提に固定費を増やさず、採用時期や開発範囲を段階化します。
融資返済は資本調達後も続きます。売上が立つ前の据置期間だけでなく、据置終了後の元利返済と次回調達費用を月別に置きます。
制度、許認可、手続、融資条件は変更される場合があります。申込時は公的機関の最新情報と金融機関の案内を確認してください。
使途配分表の出資遅延例と同じ条件です。5か月末は750万円。6か月目も出資が入らず250万円を払うと500万円、7か月末は250万円となり、最低400万円を下回ります。月末に残高があっても月途中の支払に間に合うとは限りません。次の調達が難しいと分かった時点で、支出時期・範囲の変更を早めに相談します。
契約・着金・計画を、同じ日付でそろえる
- 資金の段階を分ける交渉中 → 契約済み → 入金済み
- 契約の条件を確認持株・投資家の同意・報告・返済
- 支払と残高を更新入金遅延・融資減額・売上遅延も試算
- 不足前に調整する採用・開発の時期と契約を再確認
エンジェルは個人投資家、VCは成長企業へ出資する投資会社等です。肩書や口頭の関心表明で入金を確定扱いせず、申込先と専門家へ実際の契約を示します。
投資と融資の準備資料
出資交渉中の金額は、投資家名、検討段階、条件、予定日を正確に示します。口頭の関心表明を確定入金として扱いません。
出資と融資の併用可否、制度適用、投資契約、株価、税務、会計を判定する記事ではありません。個別の資金調達条件を公庫、投資家、弁護士、公認会計士・税理士等へ確認してください。
必要な準備を項目別に確認
制度・条件と相談前の確認
日本政策金融公庫は、VCによる出資を資本、融資をデットとして説明し、それぞれ経営権、コスト、返済義務が異なると案内しています。出資を受けていることだけで融資が自動的に決まるわけではありません。
エンジェル投資、VC出資、第三者割当増資、転換型の契約では、資金がいつ現金になるか、株式へ転換する条件、投資家の同意事項、追加出資の確度が異なります。契約締結前の予定額と入金済み額を分けます。
融資申込では、設備費、開発費、人件費、広告費などの資金使途について、出資金と融資金のどちらを充てるかを整理します。同じ費用を両方の調達目的へ重ねず、自己資金、補助金、出資、融資を合計した資金表を作ります。
成長投資を優先して赤字期間が長い計画では、元利返済の開始時期と次回資金調達までのランウェイを確認します。強気の成長案だけでなく、出資が遅れる場合、融資が減額される場合、売上が遅れる場合を試算します。
エンジェル・VC出資と創業融資の併用で想定される相談内容
以下は実績・成功事例ではなく、相談時に整理対象となりやすい状況を示した想定ケースです。融資条件、契約、会計処理、保存期間は各社で異なるため、自社資料と最新の公的情報で確認してください。
エンジェル出資300万円と公庫融資700万円で開発・採用費を分けたい
VCとの投資契約前に、持株比率と融資返済を含む資金繰りを確認したい
出資入金が遅れた場合でも融資返済と開発を続けられるか試算したい
この事業で融資前に数値化するポイント
投資家の評価額を返済能力へ置き換えない
企業価値評価と毎月返済できる現金は別です。売上・粗利・固定費から返済原資を確認します。
出資予定は確度別に扱う
打診、基本合意、契約、払込を分け、各段階の条件を記録します。
次回ラウンドまでの橋を作る
融資金を使い切る時点ではなく、次の調達を始める時点までの最低残高を置きます。
手続・必要資金・収支の補足
エンジェル・VC出資と融資の性質を分ける
持株と契約を確認
投資家、種類株、同意事項を整理します。
費用との対応を明確に
二重計上と資金不足を防ぎます。
ランウェイと接続
返済開始後の残高を確認します。
調達表には、資金提供者、手段、金額、確度、契約日、入金日、資金使途、株式・転換条件、返済・利息、前提条件、未達時の代替を記録します。
契約、報酬、申込撤回、会社の支配関係、出資、競業避止、知的財産の扱いは個別事情で異なります。契約書と当事者・金融機関の書面回答を優先し、法的判断は弁護士等へ確認してください。融資の可否、金額、条件は金融機関等が審査して決定します。
用語の確認:エンジェルは個人投資家、VCは成長企業への投資会社等、CVCは事業会社による投資活動や組織です。希薄化は新株発行等で既存株主の割合が下がること、Exitは株式売却等による投資回収、ランウェイは現金がどれくらい持つかを表す期間です。KPIは進捗を測る指標、タームシートは主な投資条件を整理する書面です。
自己資金・出資・融資・補助金と資金使途を対応させる
資本とデット
- 創業者自己資金・資本金
- エンジェル・VC・CVC等の出資
- 公庫・民間金融機関の融資
- 補助金・助成金・売上前受
毎月先行する支出
- 持株比率・議決権・希薄化
- 投資家同意・情報提供・出口
- 元金・利息・据置・返済開始
- 次回調達までの月数と最低残高
調達総額が同じでも、返済のある融資と持株が薄まる出資では経営への影響が違います。資本政策は将来ラウンドまで、返済計画は毎月残高まで確認します。
持株比率・投資契約・返済条件を同時に確認する
| 項目 | 計算・確認方法 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 自己資金 | 返済なし・創業者負担 | 形成履歴・残高 |
| 出資 | 株式等と交換 | 入金・持株・契約 |
| 融資 | 元利返済あり | 使途・返済・条件 |
| 補助等 | 後払い等に注意 | 対象費用・入金時期 |
制度名や投資家の肩書だけで判断せず、実際の契約、入金、使途、経営条件へ戻ります。個別の融資制度要件は公庫の国民生活事業・中小企業事業等の窓口へ確認します。
創業融資サポートを利用したお客様の声
支援の進み方や相談時の状況を知るには、実際のお客様インタビューが参考になります。承認率などの集計数字ではなく、ご本人の体験を確認できる事例をご案内します。






融資のアイラボの料金と支援範囲
着手金0円・成功報酬5%+税
報酬は融資が実行され、着金したときに発生します。融資が実行されなかった場合、サポート報酬はかかりません。
契約前に、成功報酬の計算対象、消費税、支援期間、追加費用の有無、解約条件を確認します。支援を利用しても融資は保証されず、最終的な可否と条件は金融機関等が決定します。
よくある質問
申込み方法や必要書類は制度・窓口・事業内容によって異なります。個別条件は必ず担当窓口へご確認ください。
VC出資を受けていても公庫へ相談できますか?
個別制度と事業計画によります。出資契約、入金、使途、返済計画を示して窓口へ確認します。
出資金は自己資金になりますか?
資本と創業者本人の自己資金は同じ意味ではありません。払込と資本構成を説明します。
出資予定額を資金計画へ入れてよいですか?
確度を分けます。契約・払込前の金額を入金済みとして扱いません。
同じ開発費を出資と融資の両方へ書けますか?
二重計上を避け、資金源と使途を対応させて申込先へ確認します。
VC出資なら返済能力は見られませんか?
融資には返済があります。売上、費用、月次現金から返済原資を確認します。
出資と融資はどちらが安いですか?
利息だけでなく、持株、権利、情報提供、返済、将来調達を含めて比較します。
エンジェルとの口頭合意で十分ですか?
金額、条件、契約、払込日を確認し、確定前提にしないでください。
この記事の監修者・運営者情報

石川 康平
五常コンサルティング株式会社 代表取締役
2024年の問い合わせ・ヒアリング対応300件をもとに、創業融資の支援範囲・料金・制度情報について確認しています。
- 執筆・編集
- 融資のアイラボ編集部
- 監修
- 五常コンサルティング株式会社 代表取締役 石川 康平
- 公開日
- 2026年8月11日
- 最終更新日
- 2026年9月11日
- 制度情報の確認方法
- 日本政策金融公庫、信用保証協会などの公式ページを確認し、申込時は各窓口で最新情報を再確認します。
※冒頭の仕事の写真はAI生成の架空イメージです。お客様の声・監修者の写真は実際の人物です。
確認した公式情報・補足資料
2026年9月10日改訂:仕事・人物画像と図解を追加。本文・表の単位、現金と費用、条件と入金時期を照合しました。今回の公式情報の追確認範囲:公庫の出資・融資の性質とスタートアップ支援資金の対象。経済産業省の投資契約・転換型投資の資料本文は今回の再確認対象外です。制度情報の当初確認日は過去の記録です。以下の参照先のうち、該当箇所を確認しています。
2026年9月11日:本文・図・補足・検索向け説明の整合と読みやすさを改訂しました。制度情報の確認日・確認範囲は、それぞれの記録をご覧ください。
制度・法令は公的機関や専門団体の公式情報を優先して確認し、経済産業省の資料は投資契約の確認事項を補う公式資料です。申込・契約時は、各公式ページと契約書面で最新情報をご確認ください。
- 公式:日本政策金融公庫「スタートアップの創業のポイント」
- 公式:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 公式:日本公庫スタートアップ支援ポータル
- 補足:経済産業省「スタートアップ投資契約ガイドライン」
- 補足:経済産業省「コンバーティブル投資手段活用ガイドライン」
制度情報の当初確認日:2026年8月25日
出資と融資を、使途と入金月へつなぐ
投資契約の段階、払込予定、必要な支払と返済から、資金が遅れる場合の計画も整理します。
資料が完成していなくても、相談した時点で契約する必要もありません。
※融資の可否、金額、利率、返済期間、担保・保証人などの条件は、各金融機関・信用保証協会の審査により決定されます。融資のアイラボは金融機関ではなく、融資の実行を保証するものではありません。
※制度情報の当初確認日は2026年8月25日です。本文・画像・図解は2026年9月10日に改訂しました。今回の再確認範囲は公式情報欄をご参照ください。制度内容は変更される場合がありますので、申込時には必ず各公式窓口で最新情報をご確認ください。
